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スローに働いて、スローに遣う

労働から活動へ、消費から生産へ、利益から恩恵へ

男性受難の時代 その4 成熟したオスがいない

男性受難の時代
  • 世界的に広がる『男性受難』

プロ無職になったり、久しぶりに同世代のサラリーマン男性と真面目に接して、

『男性受難』を体感するようになったのだが、

近年同じキーワードを挙げている人々が、国内外問わずいることを知った。

 

『男性受難』でググると一目瞭然だ。

 

jbpress.ismedia.jp

高学歴(MARCH以上の偏差値の大学卒)とされる男性陣でさえ、かなり辛いと思うから、

低学歴(偏差値教育にそぐわない人・高等教育の機会に恵まれない人)は辛いだろう。

 

単純作業は移民や発展途上国へ委託され、あっても給与は低い。

彼らが『家庭を持って面倒見て一人前』的な価値観から逃れるのが難しいだろう。

書物を読んだり思考を巡らせたり、

あとは弱者(主に女性・子供)とされる人から学ぶことが苦手な人が多いだろうから。

 

このタイプの知人の多くは、男らしい優しさがあって好感が持てるのだが

未だに一戸建てを欲しがったり、料理が全く出来なかったりして、

その世界観に驚かされることが多い。

 

www.nikkeibp.co.jp

白石桃子という女性は何と、2009年に既に受難を予知し、

更に父権の消滅した社会の利点に言及している。

 

wotopi.jp

一番リアルな現実と意見が集約されていると感じたのはこれ。

私が無職になったばかりの時に感じたことが書いてあった。

 

男性は男性というだけで平日にふらふら出来ないのだ。

それだけで不審者扱いというのは笑ったが、やはり気の毒だ。

失業して気が滅入っているときに不審者扱いされたら、

最終的に本物の不審者になってしまうんではないだろうか。

 

小野博というオランダ在住の写真家がエッセイで書いていたのだが、

アムステルダムでは働き盛りとされる年齢の男性が平日昼間に、

ごくごく普通に公園で読書していたり、ベビーカーと共に出かけていたりするらしい。

 

ニューヨーク・ブルックリンでも平日昼間にぷらぷらしてる男性なんてざらだった。

まあ、彼らは本当に失業してるんだろうけど。

何か不幸があったのかも知れないが、悲壮感はなかった。

何せリル・ウェインみたいなルックスの人ばっかりだったからな(笑)

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女性の生き方は多様化しているが、男性のそれは変わらない。

それは村上龍の「55歳からのハローライフ」でも感じた。

 

本の中で中高年の女性の皆低学歴の専業主婦だ。

男性は高学歴(今よりずっとインフレ)または低学歴でも職があり結構収入もある。

 

社会がこれだけ変わり、経済(お金の循環)が悪くなっているのに、

男性だけが取り残され消耗している。

 

まさに「全ての男は消耗品である」だけど、

村上龍の意図とは大分違う現実になってしまったように思う。

 

 

  • 70年代までの理想の男性像と父親

上記の記事でも言及されているが、

『男は黙ってサッポロビール』という冗談みたいなコピーが昔あったのだ。

昔と言っても1970年だから大昔ではない。

 

www.youtube.com

 

CMに出演していた三船敏郎が主役を演じた『天国と地獄』という映画がある。

黒澤明の代表作の一つだ。

ここでも三船敏郎は理想の男性像であり父親像を演じている。

 

www.youtube.com

うろ覚えだが、

主人公は靴メーカーを一人で大企業にした男で、美しい妻と子供に恵まれている。

 

特出すべきは彼の性格だ。

無口で無表情、常に怒ったような表情の彼が、どんな人物なのか刑事たちは分からない。

しかし、従業員や他の誰に聞いても

「あの人はいつも自分より他人のことを考えて行動してくれる素晴らしい人」と評する。

 

驚異的に愛情深く辛抱強くがそれを表に出すことは稀、なのだ。

しかし、それが周囲に伝わるには歳月と密着した人間関係が必要だ。

会社は家族で、構成員は長く濃く付き合うもの、という前提の上でしか、

成り立たない。

 

現代に、というか80年代以降に通用するのだろうか。

 

もう一つ驚いたのが、主人公の妻だ。

女優の名前は覚えていないが、楚々とした和風美人で、

白い(モノクロ映画なので正確な色は不明)着物を着ていた。

 

彼女が必死に夫に頼むシーンがあるのだが、土下座しすぎなのだ。

「高そうな着物が汚れてしまう・・・・!」と心配してしまった。

 

あんな旦那嫌だなと思った。

いくら金持ちでも綺麗な着物着られても、

男前で優しくても、

肝心なときに土下座しなきゃいけないような相手は勘弁だ。

 

父親でも嫌だ。コミュニケーション取れないだろう。

「お父様はああ見えて貴方のこと心配なさってるの!」

とか白い着物のお母様に言われるのにうんざりして家出したら、

「野たれ死にでもしろ!」

とか怒鳴った後こっそり送金してくれるタイプのお父様だ。

ドリフのコントに出てきそうだ。

 

世代別に男性の『理想の男性像・父親像』(自分がなりたいモデル)

を是非聞いてみたい。きっと興味深い結果がでる。

 

但し、年配の男性は化石とほとんど変わらない理想を抱いてそうだ。

数年前、『天国と地獄』はテレビドラマ化された。主演は確か佐藤晃一と鈴木京香だった。

テレビの上層部は2000年代にあの作品が必要とされると思っていたのだろう。

きっと呑気に「昔の父親は強かったな~うんうん」とか言い合ってたんじゃないかと思う。

だとしたらあほ過ぎる・・・。

 

  • 成熟したオスがいない

同世代の男性が不安そうに感じるというのは以前書いた。

 

slowinputslowoutput.hatenablog.com

 

私が出会う日本人男性(20代から上)のほとんどが、

『不安そうな少年』または『鈍いおじさん』に区分けされてしまう気がする。

前者の方がずっと多くて、そして後者より断然よいと思う。

 

しっかり『男』だなと思える人は、数人しかいない。

彼らは皆40代半ばだ。

 

少年⇒男⇒おじさんという経過を辿るのが一般的だと思うが、

少年⇒おじさんに飛躍してしまう。

 

翻って女性も

少女⇒女⇒おばさんではなく、少女⇒おばさんに高飛びしているかも知れない。

私自身もどう思われているのか分からないし。

 

女盛りと言う言葉は死語になってしまった。

40代の頃の岩下志麻松坂慶子と同格の艶を持っている有名人がいるだろうか。

 

男性受難は性別の論争だけじゃなくて、

社会の細部と全体が変化することを示唆しているんだろう。

 

『不安そうな少年』の方が『鈍いおじさんズ』よりずっと有利になる時代が来る気がする。

それもそんなに遠くない未来。