いまここに、あるもので

労働から活動へ、消費から生産へ、利益から恩恵へ

自分の欲望を客観視出来る大人は、誰のことも子ども扱いしない 映画『17歳』

映画監督と女優。

プロデュースする者とされる者として幸福な関係にあると思われる二者。

 

ゴダールとカリーナ

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ゲンズブールバーキン

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小西康陽夏木マリ 

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みたいな感じでしょうね。

 

『まぼろし』『スイミング・プール』では主演のランプリングですが、

今作では脇役(贅沢過ぎる)です。

 

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しかしインパクトは主演以上です。

 

  • 2013年 『17歳(原題:Jeune et Jolie)』

 

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<あらすじ>

バカンス先で初体験を済ませた女子高生イザベルは、相手にすぐに興味を無くす。普段の生活に戻ると見知らぬ年配男性相手に売春を始める。ひどい扱いを受けることもしばしばだったが、そのうち初老の客と頻繁に会うようになる。しかし彼が行為中に死んでしまう。

 

スイミング・プール』でも感じたのですが、

オゾンは少女・夏・セックスの空気感を描くのが異常に上手いです。

目眩がしそうな暑さ、蝉の声、潮の匂いが画面いっぱいに広がります。

 

主人公には実父がおらず、それが年上男性に執着する理由の一つだと思われます。

日本のダメ映画(と宣伝会社)だと、「父の愛を求めてうんたら」と感傷オチに持っていくんでしょうが、

オゾンは一要素として淡々と描くだけです。

 

ただただホルモンの高まりと純粋な欲望が綴られます。

ベッドの上で男を待つ少女は美しいです。

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でも見ちゃいけないものを見た気にもなります。

 

  • 少女を個人として接する唯一の女

売春が親にも学校にもばれてしまって大騒ぎになり、すっかり問題児扱いされる少女。

彼女を一個の女として扱うが、ランプリング演じる、初老の男の妻です。

 

「17歳、美しい歳ね」

夫の浮気相手である女子高生を前にしても、全く動じません。

 

同情も心配もしないし、敵意も好意も表さない。

かつての自分と同じ17歳だった相手、いつか自分のように歳をとる相手、

そういう距離感です。

 

自分の欲望を客観視出来る人が、そうしたフラットな態度を保てるのでしょう。

 

ランプリングが出演する数分のためだけに、何度でも見たい映画です。

 

  • 孤独な時間を持てることは、贅沢なこと

 

slowinputslowoutput.hatenablog.com

 

以前デリーから成田への飛行機で、美しい年配の日本人女性に出会いました。

長く伸ばした白い髪、ゆったりした麻のブラウス、やや日焼けした肌となめらかな皺。

 

席も離れていて、何故話したのか覚えていません。

 

「日本のリズムは私に合わなくて、南インドによく行くの」

職業も何も知らないのに、教養がある人だとすぐ分かりました。

そして何となく、私に気持ちを吐露したかったことも分かりました。

それが嬉しかったのを覚えています。

 

日本でよく見る集団行動のおばさん達と真逆の美しい女性でした。

ちゃんと孤独を飼っている人だと思いました。

 

孤独と向き合えずに時間と空間をただ埋めようとするのは愚かなこと。

美しく歳を重ねている人を見るとそう思います。

 

ただ、そういう人を見つけるチャンスが無いとそれに気づかないですけどね。

もし周りに居ないときは、映画や音楽が助けてくれます。